(3)鉱害復旧事業よみがえる川

地盤沈下した土地や建物を元通りにすることを主な目的にしたのが鉱害復旧事業です。
国や県の負担に加えて炭鉱の採掘権を持った会社が費用を負担する法律(特別鉱害復旧臨時措置法)が昭和25年に公布されたことで国の事業として本格的な取組みが始まり、さまざまな復旧事業が行われました。

沈下田を回復すること。
これは表面の土を取り除いて新しい土を入れるという方法で行われます。
そうした田は土の色からか「赤田」と呼ばれました。
この他、水路や堰、溜め池などの回復事業が各地で行われました。

堤防や樋管などを復旧すること。
樋管は小さな水門です。
ともに洪水から街を守るために大切な川の施設ですから念入りに修復されます。
この事業は遠賀川、穂波川、彦山川、犬鳴川をはじめ、いたるところで行われました。
微粉炭を取り除くこと。
これは川底に溜まって水の流れを悪くし洪水の原因になるだけではなく、鉱毒があるので全て取り除いてしまいます。
この事業は特に西川や黒川で行われました。

このような事業が長く続けられたこともあって、流域の川は石炭採掘以前の健やかで美しい流れを取り戻しつつあります。

黒い川だった面影さえありません。
鉄道網ができる前に輸送の花形であった川。

その船には水がめも積まれていましたが、船頭さんは水がめがなくなると遠賀川から直接汲んで使ったそうです。

すくった水が手のひらでどこまでも透き通って見える。
そんな水の美しさを今、遠賀川は取り戻しつつあるのです。