(6)珍しい孔列ある土器

最近、遠賀川の源流に近い嘉穂町の山間にある才田遺跡で九州の縄文時代晩期の土器とともに、土器の口縁のところに孔を連続してあけた珍しい土器が発見されました。
この土器は、朝鮮半島で約2500年前に使われていた孔列文土器の制作技術の影響を受けて現れた土器と考えられます。

同じ土器は遠賀川流域では飯塚市鯰田遺跡、小竹町内の遠賀川、 直方市中泉遺跡など川底から発見されています。

ところで、日本における稲作の開始は、口のところに刻目の突帯を持つ土器(山ノ寺式・夜臼式土器)の時期で、 縄文時代晩期末あるいは弥生時代早期とされていますが、これらの孔列のある土器の時期はさらに古く、縄文時代晩期中頃だと考えられます。

北九州市長行遺跡では、孔列のある土器とともにモミ痕のある黒川式土器や朝鮮半島中部の石庖丁と類似したものが発見されています。

才田遺跡でもモミ痕のある黒川式土器や壺形土器や石斧など特異な石器が発見されています。

このことから縄文時代晩期末あるいは弥生時代早期に先行して、朝鮮半島の農耕文化が縄文時代晩期中頃に遠賀川流域に伝来した可能性があります。

しかし、それは残念ながら定着しなかったものと考えられます。